【Three Primaries】Vol.3 花咲あんな(MC・ハープ弾き語り)さん へ インタビュー

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【THREE PRIMARIES】VOL.3 花咲あんな(MC・ハープ弾き語り)さん

interview20 「Tint」とは「淡く染める」こと。でもそれは、パフォーマー自身が持つ色彩に重ねてこそのものです。 【Three Primaries】は、TintRoomのパフォーマー自身が持つ三原色=「心(Mind)・技(Skill)・体(Competency)」に迫る、Tintインタビューシリーズ。第3回は、先日のオンライン発表会でもMCを務めたナレーター・シンガー・ハープ奏者の花咲あんなさんです。

花咲あんなの「心」:

音大受験も、ハープも、ナレーターも、はじまりは「歌で生きていくため」



もともと母が歌が好きで、幼い頃から自分もよく歌っていましたが、特に好きなわけではありませんでした。転機となったのは中学の時。入部した演劇部で「声が小さい」と言われたのがコンプレックスで、訓練のために区の合唱団に入ったところ、歌うほうが楽しくなってしまって!高校では部活動はせずに合唱団一本に絞るほど、歌に目覚めていきました。

そのうち、「もっとうまく歌えるようになりたい」「実力をつけて上の世界に挑戦したい」という気持ちが強くなってきました。音大受験は自分の中では決めていましたが、両親とは一週間ほど話し合う必要があり、なんとか説得してOKをもらいました。大変だったのはそこから。それまで私は歌以外の音楽の勉強をほとんどしてこなかったので、短期間で音楽理論やピアノなど、受験に必要なことをとにかく詰め込みました!受験先を2校に絞ったのはかなり勇気がいりましたが、無事国立音大に合格し、声楽科で4年間学ぶことができました。

でも、音大を出ていようと、歌だけでお仕事を頂けることってあまりないんです。公演を行うためには私以外にピアニストや弦楽器奏者が必要で、ギャラや日程があわないことが多々あって。それで、自分一人でも完結できるよう、伴奏楽器を持つことを考えはじめました。そんな時に出会ったのがハープ。たまたまハープ奏者の方とお話しする機会があり、それでハープを弾き始めたんです。始めた理由は打算的かもしれませんが、今ではハープの良さを皆に知ってほしいと思う気持ちも芽生えてきました。

ナレーターのお仕事も同じです。大学時代にギャラの高さに惹かれてイベントコンパニオンのアルバイトをするようになり、その中でもマイクで喋れると更にギャラが高くなることに気づいてしまって(笑)。はじめはそんな理由でしたが、ゲームショーや展示会、セミナーなど、より高いトークスキルを要求されるお仕事で活躍しているナレーターさんと接するようになって、「いつかは自分もあちら側に行きたい!」と思うようになりました。当時は「ナレーターのなり方」なんて知らなかったので、ナレーターコンパニオンで経験を詰んだり、来た案件にどんどんエントリーしていましたね。オーディションはほぼ落ちるんですが、上手い人のしゃべり方やアピールの仕方を見れるだけでも参加する意味がある。ガッツを持ってやってきた結果が、今に繋がっています。

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花咲あんなの「技」:

「声」で出来ることと、「場」で求められることを掛け合わせる



お仕事では様々な現場に行きますが、私に求められる像はそれぞれまったく異なります。医学会では落ち着いた私、テーマパークではテンション高く明るい私。タレントさんとのトークショーでは出すぎてはいけないし、ゲームショーでは少しオタクな素の一面も見せる。その時、立ち振る舞いや表情だけでなく、「声」の表現もまったく異なります。演劇で培った演技の経験も役立っているかもしれません。

自分の中にはそうした様々な「ギア」がありますが、自分で「よし、今回はここにギアを入れよう!」と考えることはあまりありません。家を出て、電車に乗っている間にチューニングされ、現場に到着する頃には自然と入るべき場所にギアが入っている。マニュアルではなくオートマのイメージですね。作っているわけではなく、気付くとその場で求められる私になっている感覚です。

最近ではゲームやアニメ関連のお仕事も増えて来ました。最も印象的だったのは、ゲームショーでのミクダヨーさん(*ねんどろいど風初音ミクの着ぐるみキャラクターのこと)と一緒のステージでのこと。1回目のステージの後にミクダヨーさんの曲があることを知って、急遽休み時間で歌と振りを覚え、2回目のステージで披露したんです!そうしたら、信じられないほどお客様が盛り上がって喜んでくれて…本当に嬉しかったですね。自分が好きな領域だからこそ、皆と仲間のような一体感が出せるのかもしれません。 逆に展示会やセミナーでのプレゼンテーションのお仕事では、皆が興味を持って聞いているとは限りません。でも、そんな環境の中でも伝えていくのが私の役目。用意された文章を自分なりに解釈し、声色や声量をコントロールし、ひとりひとりに目線を合わせながら、身振り手振りも使って「こっちを見て!」と惹きつける。そこでどれぐらい興味を持ってもらえたか、理解してもらえたかが、クライアントの営業さんの成約率に繋がるんです。一番はじめの興味のとっかかりを作れること、そこから成約に繋がってクライアントさんが喜んで下さることは、とても大きなやりがいです。

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花咲あんなの「体」:

歌で生きていくために、必要な武器を身に着ける


昔は人と争うことが嫌いで、内気なタイプでした。でも、オーディションを受けて行く中で「遠慮していたら選んでもらえないし、自分のやりたいことが出来ない」と気づき、自分を出すことを覚え、そして「競争してでも自分が選ばれたい」という気持ちが芽生えてきました。

「食べていかないと!」という意識も常に持っていました。楽しいことや好きなことも大前提ですが、それで自分が生きていかないといけない。圧倒的な歌の上手さやカリスマ性を持っているわけではないなら、他の武器も身に着けないといけない。そこで「歌が歌えて、珍しい伴奏楽器が弾けて、MCも出来る」となると、使ってもらえる可能性が高いと考えた結果が、シンガー、ナレーター、ハープ奏者など、様々な顔を持つ現在の私です。

最近では、個人の教室や学校で歌とナレーションを教えています。教えた生徒さんが大役に抜擢されたり、褒められたり、楽しそうにやっている姿を見るのは、教える方として最も嬉しい瞬間です!でも、もっともっと熱量をもって学んでほしいと感じる時もありますね。モデルにせよ女優にせよ、今はしゃべれないとお仕事がこないよ、と。通る声ではきはきと自分の考えを話せることは、オーディションを通過するための武器になるはずですから。

私は音大に入った頃、あわよくば歌を歌って生きていきたいと思っていました。ただ、4年間それなりに努力したけれど、そのレベルまで行けなかかった。当時は「歌で生きていきたかった」という思いももちろんありました。でも、諦めずに目の前のことをやり続けてきたら、やってきたことが今全部生きています。無駄なことはなかったし、色々なことが繋がっている。今、新型コロナで状況はガラッと変わってしまいましたが、出来る限り粘って、一生現役でやっていきたいです!

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花咲あんなにとって、「パフォーマンス」とは?

私にとってパフォーマンスとは、お客様に喜んで頂くこと。目の前にいるお客様ももちろん、自分を呼んで下さったクライアントさんにも喜んで頂けることが、私にとってのやりがいです! interview25

インタビュアーコメント

オンラインパフォーマンス発表会でもご一緒させて頂いた花咲あんなさん。現実的な視点を持ち、戦略的に多数のスキルを獲得してきたことが現在の活躍を支えていますが、そこには「歌で生きていく」という強い信念がありました。その生きる武器を若手に伝えていく姿勢も魅力的。これからの活躍にも注目です!(Interview&Text:Shiho Nagashima)

 

撮影:加賀見
※注)画像の無断使用は禁止されております。

 

花咲あんな Tint Room

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