【THREE PRIMARIES】VOL.2 山口あや(MC・歯科衛生士)さん
「Tint」とは「淡く染める」こと。でもそれは、パフォーマー自身が持つ色彩に重ねてこそのものです。 【Three Primaries】は、TintRoomのパフォーマー自身が持つ三原色=「心(Mind)・技(Skill)・体(Competency)」に迫る、Tintインタビューの新シリーズ。第2回は、イベントMCを中心に活躍しながら、現役の歯科衛生士でもある山口あやさんに迫ります。
山口あやの「心」:
メディアに出ることでみつけた周囲の笑顔と、人生を決定づけた東日本大震災
学生時代はずっとバレーボールをやっていました。春高バレー予選の決勝戦に出場した際に地元のとちぎテレビに映ったんですが、そうしたら家族や親戚、友人がものすごく喜んでくれて!自分がテレビに映ったことではなく、それを見て周囲が喜んでくれたことがとにかく嬉しかったですね。その時に初めて「メディア」に触れて、その力を実感しました。
その後、イベントや結婚式2次会でMCをすることが何度かあって、自分が話すことで会場が沸いてる感じがとても楽しく、「自分に向いているかも」と思いはじめました。ただ当時は家庭の事情もあり、学費も安く資格が取れるということで歯科衛生士の学校に進学し、就職して歯科医院で働いていました。
大きな転機になったのは東日本大震災。ちょうど勤務中に震度6近い揺れがあり、「死ぬ!」と思ったんです…。色々なものが落ちてきたり、倒れてきたりして、完全にスローモーションの世界。そうして死を意識した時に感じたのは、「やっぱりやりたいことをやっておけばよかった!」ということ。それまでにもネットでアナウンサーの募集を調べたりしていましたが、応募条件を満たしていなかったため、踏み出すことが出来なかったんです。でもあの揺れの中で、死を感じた瞬間に人って変わる。その1カ月後には「私、アナウンサーになります!」と宣言していました。
そうして無事アナウンサーになって嬉しかったのは、春高バレーの時のとちぎテレビのアナウンサーさんとの再会。「あのバレー部の子だね!」と覚えていてくれたんです!「あの時のことがきっかけでアナウンサーを目指すようになりました」と、伝えることが出来ました。それだけ選手のことを覚えているって凄い。私もそうなりたいです。
山口あやの「技」:
現場で育んだアドリブ力。その原点はサーキットと歯科医院
大震災後、アナウンサーになるために行動しはじめたのが25歳の時。「とにかく時間がない!早く吸収しなきゃ!」と考えて、まずツインリンクもてぎのイメージガールである「ツインリンクもてぎエンジェル」のオーディションを受けました。世界的なレースもあるし、地元のラジオ局・テレビ局に生放送の番組も持っているので、ここならメディアへの出演経験が積めて、世界的なイベントにも関われて、一石三鳥だなと。無事合格し、3年間エンジェルとして活動することになりました。のちのち先輩に聞いても、やっぱり場数をこなすのが一番だと言われたので、エンジェルになったのは大正解でしたね。その後は本当にラッキーで、エンジェル時代にイベントでお会いした方が覚えていてくれたり、SNSで声をかけて頂いたり、ご縁や周りに助けられながら色々な経験をさせてもらっています。
お仕事では、事前にイベンターさんや主催者さんの想いをきちんと聞くこと、そして当日の会場の雰囲気を大切にしています。客層をみて、子供が多ければ子供向けのネタを入れたり、場合によっては下ネタについていったり(笑)。スポーツの現場だったら、サポーターさんの声を押し上げる役割になるので、同じ熱量で声を出すようにしていますね。自分を主張するのではなく、その場にカメレオンのように溶け込んでいけたらいいなと思っています。
私が他の人よりも強いのはアドリブ力。イベントの前に必ず対象について勉強したり、情報を集めたり、様々な角度から調べるようにしていますが、けっこうアドリブも多いですね。ツインリンクもてぎの現場はもちろん、今も続けている歯科衛生士の仕事で磨かれた部分もあるかもしれません。私の勤務先は、歯科衛生士から患者様に説明する機会がとても多いんです!!30分毎に患者さんに説明して、治療を完了させて、また次の患者さんにその繰り返し。手際よく説明して納得してもらうのは、実はかなり高度なことだと思うんです。様々なタイプの人にそれぞれどう対応するべきか、歯科医院の中で学びました。イベントでもお客さんには様々なタイプがいますが、「あの患者さんのタイプだ!」と考えていけば、どんなコミュニケーションがいいのか割り出せます。歯科医院は毎日トークショー(笑)!すごく勉強になっていますね。
山口あやの「体」:
プライドはいらない。あらゆるアクシデントを乗りこなし、皆で一緒にイベントをつくっていく
アドリブ力はありますが、それでも失敗は沢山あります!以前サッカーの試合で、オフサイドなのに思いっきり「ゴーール!」って叫んじゃって(笑)。でも、プライドがないので失敗は隠しません。人間必ずミスはするものなので、いつもそれをカバーする準備をしています。実況の時も、様々な失敗パターンと、その対策を考えていますね。だから、プライドがないのは強み。コケにされても、「悔しいけど、まあ反省して頑張ろう!」と切り替えられるんです。
実際、生の現場はアクシデントがつきもの。どんな時でもアクシデントが起きる前提で対策を考え備えているので、何か起きても役に立てるし、「山口さんが助けてくれた!」と別のイベントにも呼んでもらえるようになっていったんです。現場で何かしら起こって、対応して、そうした経験を積んで、次もまた準備していく。実際はアクシデントも楽しめる性格なので、本心は「きたきた~っ!」って感じです(笑)。
今後は、どんな仕事でもいいので、全国各地を飛び回って全都道府県を制覇したいです。私は裏方の仕事も好きで、たまにイベント運営の裏方などの依頼をもらうと、喜んでやっています!1スタッフとして皆で一緒にイベントを作っていくのが好きなので、あまり仕事内容にこだわりがないんです。それぞれの現場で色々なことにチャレンジして吸収したいし、その経験が必ずMCとしての仕事にも生きてくるはず。なので、オファーを頂いて、やりたい仕事だったらやると決めています。
でも、なんといっても今、ラジオパーソナリティのお仕事が本当に楽しすぎるんです!自然体の自分でいられて、何よりリスナーさんとの距離が近い。こんなに楽しいメディアがあることを、最近まで知らなかったことが悔しいです(笑)。一生続けたいし、ラジオの魅力を若い世代に伝えたい気持ちもあります!何気なく聞いた方がクスッと笑ってくれるような、楽しい番組がお届けできたら幸せです。
これからも、ラーメン屋の娘らしく熱く熱く色々なジャンルに挑んでいきます!また、歯科衛生士のように人の心に寄り添える話し手になりたい。必要とされる以上は、粘り強くこのお仕事を続けていきますよ(笑)!
インタビュアーコメント
インタビューが始まるやいなや、その明るさと表現力の豊かさで一気に場の空気をさらっていった山口あやさん。持ち前のアドリブ力と、アクシデントを乗りこなす度に増していく対応力で、イベントそのものを楽しんでいる彼女がいる現場は、どんなにパワフルなものでしょう。是非、今後の活躍にも注目してみてください!
(Interview&Text:Shiho Nagashima)
山口あや Tint Room
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