【Three Primaries】Vol.19 AR・VRアーティスト Etsuna(悦奈) さん

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【THREE PRIMARIES】VOL.19 AR・VRアーティスト ETSUNA(悦奈) さん

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「Tint」とは「淡く染める」こと。でもそれは、パフォーマー自身が持つ色彩に重ねてこそのものです。【Three Primaries】は、TintRoomのパフォーマー自身が持つ三原色=「心(Mind)・技(Skill)・体(Competency)」に迫る、Tintインタビューシリーズ。第19回は、中国出身のアーティストインフルエンサー、AR/VRアーティスト・Etsunaさんです。

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Etsunaの「心」:

描く楽しさに突き動かされ、アニメーションの本場・日本へ



子どもの頃から「美少女戦士セーラームーン」が好きで、よく真似をして絵や漫画を描いていたんです。勉強は苦手だったので美大を目指すことに決め、プロの先生に絵を習い、無事南京芸術大学のアニメーション専攻に進学しました。

先生について学んだ期間は3か月と短く、みんなと比較しても圧倒的に少なかったけど、だからこそどんなスタイルでも受け入れ、吸収することができました。やったことのないことを楽しめる性格だから、当時アナログで描く人が多い中でいち早くデジタルペインティングにも触れていましたね。とにかく絵を描くのがおもしろくて、気づけば2,3日が一瞬で過ぎてしまうほど没頭していました。

注目してもらえるようになったきっかけは、中国のデジタルアート業界の著名な雑誌で取り上げて頂いたこと。描いた作品をどんどんインターネットに公開していたら、ある日急に取材依頼が来たんです。でも自分は絵を描くことに必死すぎて、有名になっているなんて全く気づいていませんでした(笑)。

卒業後は上海映画芸術大学のゲームアート専攻でキャラクターデザインを教える仕事につきました。ただし、大学の先生になるためには修士や博士を取らなければいけません。アニメーションをさらに学ぶのであれば、やっぱり本場である日本に行きたいと思い、多摩美術大学のアニメーション専攻への進学を決めました。そこには、小学校の頃に亡くなった親友との「一緒に日本に行って描こう!」という夢を自分が叶えなきゃという気持ちもありました。

多摩美術大学では、トップイラストレーターとしても活躍する秋山孝教授に教わりました。秋山先生の「あなたがやるべきは、名前を書かなくてもみんな“これはEtsunaの作品だ”とわかるスタイルを見つけることだ」という言葉は、私の人生を大きく変えてくれました。この言葉があったから、今も私は自分のスタイルを見つけるためにいろいろなことにチャレンジできています。

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Etsunaの「技」:

kawaiiカルチャー存続のため、持てるスキルをxRに活かす



きゃりーぱみゅぱみゅさんのような「Kawaiiスタイル」が大好きなんです。誰かのコピーではなく、自分らしくいられるのがKawaiiスタイル。でも今ではかなり減って、ほとんど見かけなくなってしまいました。年を重ねてしまったり、勝手に写真を撮られて恥ずかしい思いをしたり、いろいろと文句を言われたりしたことで、みんなKawaiiスタイルのファッションを着なくなってしまったんです。Kawaiiスタイルが文化として続いていくために何かしたいし、みんな恥ずかしがることなく自分らしいファッションを着てほしい。私がVRやARを始めたのは、実はそれがきっかけでした。

まず始めたのはVRやAR上でのファッション制作です。VRでつくったモデルを3Dで出力し、最終的にARへと変換します。3Dソフトだと1着つくるのに1週間近くかかるところ、VRならぎゅっと短縮できます。また、これまでにつくっていたものは1点ものばかりで量産できなかったのですが、バーチャルでつくったアクセサリーやファッションは3Dプリントすれば量産できます。展示と合わせてグッズ販売もできると考え、3Dプリンターも購入しました。

私は何かつくるときは一度頭の中で完成形を描くので、VRのファッション制作ではそれをそのままVR上で描くような感覚です。それには、大学時代に半年ほど勉強した彫刻の知識と経験が役に立ちました。また、絵を描くためには身近なものを観察する必要があるため、いつも周囲を3Dスキャンするような感覚で見ていることも活かせています。

今はまだ講師としてのお仕事がメインですが、これからVRパフォーマンスをしていく中ではどんどんあたらしいものをミックスしていきたいですね。リアルとVRとARをミックスした世界観をつくり、その世界観を知ってもらうことで自分の大好きなKawaiiスタイルの文化を伝え、なくならないようにPRしていきたいです。

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Etsunaの「体」:

楽しいと感じることを大切に、常に変化しつづける



私らしいスタイルを見つけるために、多摩美術大学時代には何人もの教授に相談しました。テキスタイルやメディアアート、アニメなどさまざまな分野の教授に相談しましたが、みんなに「あなたのつくっているものは自分の分野のものではない」と言われてしまったんです。

でもその中で、「あなたが今つくっているものはテキスタイルでは“普通”と捉えられてしまうけど、メディアアートに持っていけば“スペシャル”になれる」という大きなヒントとなるアドバイスも頂きました。それはつまり、異なる分野からアイディアを得ることで自分らしいスタイルがつくれるということ。ファッションから得たヒントはアートに活かし、アートから得たヒントはファッションに活かす。そうやっていろいろな分野に挑戦してきたからこそ、私らしいスタイルを確立できたんだと思います。

私らしいスタイルの特徴の一つは髪色・髪型です。半年に1回ほど変えていて、同じものにしたことはありません。転機になるようなことや悲しいことがあったときに髪色や髪型を変えると、自分を別人のように感じることができます。まるで人生をリセットしたかのような感覚。一度きりの人生、どうせならいろいろなキャラクターになってみたいし、そのためには髪色や髪型を変えることが一番なんです。

そうやって「今の気分」を大切にしているので、実は私には将来の夢や目標がありません。なぜなら、楽しいと感じることでパワフルになれるから。大きな夢や目標は自分にストレスをかけてしまうので、結局うまくいきません。どれだけ服を売るかより、どれだけ賞を取るかより、楽しいかどうかが大切なんです。

楽しくいるためには、悩まないことも大切です。「周りにどう見られているか気になる」という悩みはよく聞くけど、彼らの抱く感情はあなたには関係のないこと。他人の人生にまで責任を持つ必要はありません。人生には限られた時間しかないし、解決できないことは隅に置いておけばいつのまにか忘れてしまうから、自分は自分がいいと思うことを楽しむことが大切です。周りの目線や感情を負いすぎることなく、軽やかに歩くのが私は好きなんです。

そのために、私は定期的に「断捨離」をしています。本当に仲のいい友達との時間を大切にして、一緒にいて楽しくない気分をもたらす人とはすぐにお別れします。本当に合う人は何もしなくても私のことを好きでいてくれるし、好きにならない人はどうやっても好きになることはありません。それに人は変わっていくものだから、今は仲が良くても途中で変化することだってあります。だからといって悲しむ必要はなく、お別れして新しい仕事や出会いに進めばいいだけ。リセットすることってとても大切なんです。

インフルエンサーをしていると、悪口を言われることもあります。私も最初の頃は「こんなこと言われてるの?」と悲しんだけど、そういう人は有名な人なら誰にたいしても悪口を言っていたりするもの。それがわかったら全く気にならなくなりました。それに、そうやって傷ついた部分ほど強くなっていくもの。年齢を重ね、何をどうすればいいかもわかるようになったから、今はどんな場面でも落ち着いて対処できます。だから今の自分が一番好きだし、年を重ねておばあちゃんになったら、もっともっと楽しくなる気がするんです。

この世界は常に変わり続けているから、むしろ「変化すること」だけが唯一変わらないものだと思います。変わることは勇気もいるし、お金もかかるし、周りの人が受け入れてくれる保証もありません。それでも、私は教授の言葉で人生が変わったから、同じように誰かに変化をもたらしてあげたい。自分の力で誰かの「変化」がつくれたら嬉しいですね。

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Etsunaにとって、「パフォーマンス」とは?



ショーを見せるというより、脳が伝播するお祭りだと思っています。見えなくても、感じて、考える。言葉を使わないコミュニケーションもすごく楽しいので、是非チャンスがあったらやってみたいですね。


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インタビュアーコメント

ポジティブなオーラを身にまとい、出会う人すべてをハッピーにしていくEtsunaさん。変化しつづける自分を楽しむ彼女にとって、VRやARはまさに今その楽しさを感じている領域です。パフォーマンスでもきっと「Etsunaスタイル」を見せてくれるはず。是非、Etsunaさんへのご依頼をお待ちしています!

(Interview&Text:Shiho Nagashima

Etsuna Tint Room

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