【Three Primaries】Vol.5 ぱふぉーまーまめさん へ インタビュー

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【THREE PRIMARIES】VOL.5 ぱふぉーまーまめさん

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「Tint」とは「淡く染める」こと。でもそれは、パフォーマー自身が持つ色彩に重ねてこそのものです。【Three Primaries】は、TintRoomのパフォーマー自身が持つ三原色=「心(Mind)・技(Skill)・体(Competency)」に迫る、Tintインタビューシリーズ。第5回は、オンラインパフォーマンス発表会Vol.1Rで見事大賞を勝ち取ったぱふぉーまーまめさんです。

ぱふぉーまーまめの「心」:

幼いころに惹かれた道化師が、自分を知るヒントに



幼い頃からテーマパークにいるピエロに惹かれていて、高校に入ってもショッピングモールなどで見かける道化師の存在が気になっていたんです。実際に自分でパフォーマンスをやりはじめたのは、大学でジャグリングサークルに入ってから。友人と一緒に新歓にいったら抜けにくくなっちゃって(笑)。

でも、その後色々あって同じ地域の大道芸団体に入り直したんです。そこでは、サーカス学校のような場所で技を学ぶ機会も頂き、初の1人ステージも経験させてもらいました。実は、初めて「出演枠をあげるよ」と声をかけてもらった時、1週間後の舞台だったので「無理です!」と断ってしまったんです…。そんなタブーとも言える失態を犯したことで、「1回でも断ったら仕事は来なくなる。もらったチャンスでどれだけ出来るか試されている」ということを学び、2回目以降「断る」という選択肢はなくなりました(笑)。

大道芸団体には様々な人が出入りしていて、その繋がりで道化師について学ぶこともできました。特に良かったのは「キャラクター開発」。どういうキャラクターなのか、歩き方なのか、癖があるのかなどを突き詰めていくんですが、その中で徐々に自分の個性を掴み、自分を理解していきました。もともと道化師に興味があって参加したものでしたが、こうして直感にしたがって取捨選択していったものが、結果的に「自分らしい見せ方」として残っています。

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ぱふぉーまーまめの「技」:

お客さんと一緒にゼロから空間を作るためのさじ加減



パフォーマンスのスタイルは、昔は全然違いました。当時大学のサークルでは、全体30分のうち、1人あたりの持ち時間は5分で1つの道具しか扱えなかったんです。でも、自分はお客さんと一緒にゼロから空間を作っていきたかった。だから、じわじわと一緒に空間を作りあげられるようにフィールドを変えていきました。それに、全体で30分あるなら全部自分でやりたいじゃないですか(笑)。

一緒に空間を作るために、パフォーマンス中はお客さんの表情や、今どの程度自分に興味を持ってくれているかを観察し、それに合わせて振る舞いやリアクションを変えています。そのため、練習では自分の引き出しを増やしたり、イメージトレーニングがメインになります。「このタイミングで拍手が微妙だったら、どんな表情をしよう」など、鏡を見ながら練習しています。

ちなみに僕の目元のメイク、逆に「お客さんが入り込みすぎないように」という意図があるんです。例えばそれがないと、子供が「お兄ちゃーん!」って話しかけてきちゃうから(笑)。だからちょっと人間離れさせて、最初は近づきづらい、話しかけずらい空間を作り、そこから徐々に惹き込んでいく。チャップリンやバスター・キートンにしても、かっちりしたスーツの人がアクシデントにあう方が面白いですよね。そこには「落差」があるんです。

パフォーマンスの構成も、クラウンのおどけた部分を見せつつ、最後はハットジャグリングをかっこよくキメるという、落差のあるものにしています。なぜなら、大学でサークルに入り、一番最初に学んだのがハットジャグリングだったから。これだけはお客さんに見てほしいし、そこにはお客さんに対する「見てくれてありがとう」という気持ちを込めています!

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ぱふぉーまーまめの「体」:

パフォーマンスをしている時が、最も自由で自分らしくいられる


パフォーマンスをサイレントにしているのも「惹き込める」からです。言葉を使うと言葉で理解してしまうけど、言葉に出来ることは別の表現も出来るはず。その方が惹き込めるし、お客さんも想像力を働かせて「考える」方がいいな、と。

難しいのは、ストーリーがしっかりしていないとお客さんの出入りポイントを作ってしまうところ。だから自分は、ネタとネタを繋げることで自分オリジナルの味にしていきたいと思っています。極端な言い方をすると、もう完全なオリジナルって存在しない。であれば、自分が好きなものを選び取り、それをつっくける糊の部分に自分のキャラクターを入れていくと、個性やオリジナルに繋がるんじゃないかと考えています。

僕、自分は全体的な知能や能力は低いと思っていて、だから余計にパフォーマンスから抜けられないんです。自分を受け入れてもらえたと感じたのは、パフォーマンスが初めて。認めてくれるお客さんや先輩がいて、自分だけの表現方法があるなら、これからもパフォーマンスをやっていきたい。あとは、人に指摘されることの多かった声の高さやなよなよした部分が、パフォーマンスならオープンに出来るんです。あざとくぶりっ子もできるし(笑)、お客さんもその面を見てくれるから、パフォーマンスをしている時が一番自由なんです。

実は、「ぱふぉーまー」という肩書を消そうと考えていたことがありました。個人的な理想のパフォーマンスは、「人の日常に溶け込む」ようなもの。路上で何かトラブルがあって、結果的にそれが「見られている」からショーになる、というようなイメージ。そうやって人の日常に入り込もうとする時、「ぱふぉーまー」という肩書は邪魔だなと思ったんです。ただ、自分は好きなものをいろいろつまんでいて1つのジャンルに特化していないし、ジャンルを断定されたくない部分もあるので、そう考えると「ぱふぉーまー」という平仮名表記は抽象的でいい感じかもしれない(笑)。人にとられたくないっていう愛着も生まれてきてるので、いったんはこのままかな!


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ぱふぉーまーまめにとって、「パフォーマンス」とは?

自分の好きをお客さんと共有し、お客さんと繋がることができるもの。表現を通じて自分の好きが相手にも伝わる。お互いにそれが笑いに繋がればハッピーじゃないですか。そうでないなら自分の殻にこもっていれば良いし、人前でやる必要がないですよね。そして、繋がれているからこそ、自分が存在する意味の1つになっています。

オンライン発表会では、せっかくいろいろな人が参加しているんだから、その人たちのお客さんにも僕の動画を観てもらいたいと思って参加しました!動画はもともと、興味を持ってくれている人と繋がっているためにやっていましたが、これは新しい人に見てもらえる機会。次回もまた、ネタを思いついたら参加したいと思います!

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インタビュアーコメント

普段サイレントなのが信じられないほど、明るくハイテンションでインタビューに応じてくれたまめさん。お客さんと一緒に空間を作っていくこと、そこで自分の「好き」を共有して繋がれることは、まめさんがまめさんらしく生きることを支えているようにも感じました。次回のオンライン発表会でのパフォーマンスにも期待が高まります!

(Interview&Text:Shiho Nagashima)

 

撮影:加賀見
※注)画像の無断使用は禁止されております。

 



ぱふぉーまーまめ Tint Room

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