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歌舞伎が「伝統芸能」になるまで…興行化の本質

歌舞伎が「伝統芸能」になるまで…興行化の本質

歌舞伎が「伝統芸能」になるまで

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歌舞伎が「伝統芸能」になるまで…興行化の本質

どんな伝統・伝統芸能も、最初は新しい表現として始まっています。
クラシック音楽などはかつて庶民の娯楽でしたが、いまでは文化人や富裕層の趣味になりました。
しかし、庶民といっても劇場などに行ける余裕のある人のための娯楽であり、そういった意味ではあまりポジションの変化はないかも知れません。

しかし、歌舞伎はその始まりとはまったく違った文化的な位置を、今日では獲得しています。

歌舞伎がどのようにして発展したのか、どのようにして歌舞伎が伝統芸能となったのか紹介致します。

●歌舞伎の起り
歴史の教科書などにも記されているので、ご存知のかたも多いと思いますが、出雲の阿国(おくに)という女性が安土桃山時代にはじめました。
はじめは「ややこ踊り」といって、子どもが子供らしい踊りを踊っていましたが、だんだんと扇情的なものとなり、当時の幕府は禁止令を出しました。

出雲の阿国はもともと遊女でしたが、遊女の踊りを舞台で見せるだけであって、売春は横行していませんでした。
しかし、阿国をまねた遊女たちが、興行と一緒に売春を行うようになり、風紀の乱れを心配した江戸幕府によって、一旦「歌舞伎」は禁止されます。

●若衆歌舞伎
禁止されたのは、あくまでも女性の歌舞伎だったため、今度は「若衆歌舞伎」として、年少の少年たちが歌舞伎を踊るようになってきました。
しかし、こちらも禁止されてしまいます。

歌舞伎が禁止されたのは、売春が横行したためです。
そしてご察しの通り、こちらの若衆歌舞伎が禁止されたのも、売春が行われていたためです。

男色そのものは問題視されておらず、売春の横行による風紀の乱れを懸念され、若衆歌舞伎は禁止されました。

●野郎歌舞伎
これが、今で言う「歌舞伎」の本流です。女性と少年が排除され、歌舞伎は男性が女性を演じるようになりました。
しかし、売春が完全に途絶えたわけではなく、贔屓客に体を売ることもあったそうです。

しかし、売春らしい売春は横行することがなくなり、次第に演劇の類型化や、様式が定まってきました。
老人の役をどう演じるのか、そして女型をどう演じるのかなど、芸術としての探求が始まります。

●江戸時代
歌舞伎が日本に定着するようになったのは、江戸時代のことです。
ただし、今と違って色々と規制が激しく、例えば実際の事件を題材にできなかったりだとか、武士階級の不祥事も扱えませんでした。

後に扱いますが、明治時代に入ると逆に「実際に起ったことしか扱ってはならない」と改定されます。
当時の歌舞伎役者は困惑したことでしょう。

●明治~昭和と歌舞伎
明治時代に入り、日本は文明開化で欧米の文化に触れることになります。
明治政府は、欧米の文化に対応できる文化を日本に樹立し、国家の求心力や、国民意識を形成しようと画策しました。

その結果、歌舞伎は荒唐無稽なものから、より「洗練」されたものへと変化します。
時代考証が加えられ始め、歌舞伎はより史実に近づいてきます。
例えば、いるはずのない将軍であったり、隠し子設定であったり、そういったものが極力排除されていきます。

よくも悪くも絢爛豪華で、悪趣味なまでに派手な姿を押し広めるスタイルだったのが、「日本の伝統文化を保存する」ことに目的が変わります。

●なぜ伝統文化になったのか
色々と考察できますが、理由として以下のものが考えられます。

1.欧米文化への対抗
明治政府が画策したのは、国民意識の拡大でした。国民に「日本人である」という意識と、欧米諸国に日本が文化的な国であることをアピールする必要がありました。

歌舞伎及び能・狂言などの芸能文化は、国に保護されました。

2.娯楽性が高かった
1887年に天皇の御前で歌舞伎は披露されますが、出囃子などを省いた厳粛なものでした。
能に近づけたわけですが、歌舞伎はもともと民衆のための芸術で、宗教音楽である雅楽や、一部の貴族階級のためのものであった能とは違います。

歌舞伎は今で言うストリートパフォーマンスを起源としており、娯楽性の高いものでした。
国立の歌舞伎の劇場は、世界第三位の動員数を誇ります。

3.「世襲制」の存在
職業が身分で継承されるのは、歌舞伎だけではありませんでした。士農工商のすべてが世襲制の適用範囲内です。

封建制の身分が残っていますが、それが歌舞伎の「伝統芸能」らしさを形作り、落語とはまた違う世界ができあがりました。

批判も多く、世襲といっても養子制度で弟子を迎えたりするのですが、この昔ながらの「身分制度」が、伝統芸能化に一役を買っているのは間違いありません。

●歌舞伎の今後
スーパー歌舞伎など、従来の歌舞伎の伝統からそれたものを上映するなどして、新しい表現に挑戦もしている歌舞伎。
歌舞伎ではないと言われるかも知れませんが、歌舞伎の定義は「歌舞伎役者が出ていれば歌舞伎」とも言えますから、気にする必要はないでしょう。

伝統芸能といっても、美しさや楽しさを見言い出してきた方がいるからこそ続いています。

●まとめ
過去の歴史は大切ですが、それが伝統芸能になってしまうことへの批判はあります。歌舞伎はスーパー歌舞伎など、時代に合わせた表現も模索しているので、今後大きく変化する可能性は十分にあります。

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